なぜこどもはわがままなのか?
使いたいおもちゃを誰かが使っていると、泣いたり、怒ったり、取り上げたり。
おやつが無くなると、もっと食べたいと泣いたり、怒ったり、暴れたり。
なぜこどもはわがままな姿が多く見られるのでしょうか?
それは、幼児は脳の発達が未熟で、自分の言動が相手の気持ちにどう影響するか理解するのが難しいからです。
子どもは周囲の関りから、相手の気持ちを想像して行動する、理性や自制心などを育みます。
今回の記事では、具体的にどのように関わればよいか、以下の方法をご紹介します。
・子どもが必要とするときに、なるべくすぐに対応すること
・大人からすると大げさに感じることでも、子どもの気持ちを受け止めて感じること
・あなたの気持ち・相手の気持ちについて話し合うこと
・適切な感情表現や代わりの方法を話し合うこと
・子どもが必要とするときに、なるべくすぐに対応すること
「見て!」「来て!」「助けて~」「難しくて出来ない」「手伝って」のように、子どもが大人を求めてきたときに、なるべくすぐに私たちが対応します。*1
赤ちゃんは泣くことでこれらを表現するので、何を求めているかわからないこともあるかと思います。大切なのは、子どもが「私が求めると、助けようとしてくれる。」と感じられることです。毎回大正解の対応ができなくとも、私たちが子どもに対して「あなたを助けたい」と思っている気持ちが伝わることの方が大切だと感じます。
・大人からすると大げさに感じることでも、子どもの気持ちを受け止めて感じること
玄関のカギを開けたら、子どもが怒って大泣きした。←このような経験はありますか?「あなたが鍵を開けたかったのね。もう一度鍵をしめるから、さあ、やっていいよ。」と対応しても、子どもの怒りは収まらず、時を戻してやり直すしか納得してくれない様子…。「鍵くらいでそんなに怒らなくても…」とも思いますが、私たちからすると大げさに感じることでも、子どもの気持ちを受け止めて感じることが大切です。
「鍵を開けたかったのに、私が開けてしまったから、嫌だったのね。」と、子どもの気持ちを同じように感じてみます。子どもは、まず初めに共感してもらえること、自分の気持ちを分かってくれていることで安心して、私たちを敵ではなく寄り添ってくれる味方なのだと感じ、その後の私たちの言葉に耳を傾けてくれやすくもなります。
・あなたの気持ち・相手の気持ちについて話し合うこと
「私は、あなたがそんなに鍵を開けたがっていることに気が付けてよかった」
「私は、あなたに叩かれてとても痛かったよ。」
「○○くんは、あなたが大きな声を出して怖がっているよ」
自分の気持ちは「私はこう思うよ」のように自分を主語にすると伝わりやすくなります*2
・適切な感情表現や代わりの方法を話し合うこと
「次は、あなたに鍵を開けてもらうね」
「こういう時は“嫌だ”って言ってね」
発達に応じて“鍵を開けたかったって言ってくれたら分かるよ”“両手でバツを作って教えてね”のように、その子が表現できる方法を提案します。会話ができる子は、どのような方法なら相手を傷つけないか一緒に考えると良いです。
これを繰り返していくと、子どもは自分の感情を表現する言葉や方法を覚え、怒ったり暴れたりしなくても自分の感情を表現しやすくなっていきます。
1996年に行われたしつけの手法調査で、親からしつけの時に、子どもの言動が他人にどう影響するかを説明されていた子は、力でねじ伏せる(罰を与えるなどの)手法でしつけをされていた子より思いやりがあり、共感力が高いという結果が出ました。*3
魔の二歳児、イヤイヤ期、体調不良や環境の変化の時期など、どうしたものかと途方に暮れる時もありますが、完璧にいつもこの対応ができなくても大丈夫でした。(私は完璧にはできませんでした(笑))間違ったときは素直に謝ること。そして、やはり重要なのはその割合。子どものことを思って、サポートしたいと思っている私たちの前向きな言動の方が多く子どもに伝わっていること。
このバランスが崩れた時、子どもが不適切な行動でそれをお知らせしてくれることがあります。そのサインに気付いたら、「子どもと遊ぶ時間、子どもの話を聴く時間、子どものリクエストに応える時間、もしかして足りてないかも?」と振り返って、そういった時間を意識的に増やすと、落ち着いてくれることもありました。
それでもなんだか落ち着かないなあと思っていると、子どもが発熱して、「具合が悪かったんだな。」と気付くこともありました。そうやってすこしずつ、気付けることが増えていく関係性は楽しいなと思います。
*1ジョン・ボウルヴィ、メアリー・エインズワースの愛着理論
*2トマス・ゴードンのアイメッセージ
*3Julia Krevans and John C. Gibbs, “Parents’ Use of Inductive Discipline: Relations to Children’s Empathy and Prosocial Behavior,” Child Development 67, no. 6 (December 1996): 3263–3277